交通事故で多い負傷のなかで、一番に挙げられるのが「むちうち」です。むちうちは、交通事故の当日に症状が出ないこともあるので、注意が必要なケガのひとつと言えるでしょう。
この記事では、なぜむちうちはすぐに症状が出ないのか、症状が出るまでの期間や治療法について詳しく解説していきます。交通事故などでむちうちの経験がある方はもちろん、ない方もぜひ参考にしてみてください。
そもそもむちうちとは?
むちうちは、交通事故の衝撃で首などがムチのようにしなり、不自然な力がかかることによって起こる首や頸椎の捻挫です。首や頸椎は人間にとって重要な神経が集まっている場所なので、場合によっては痛みだけではなく、痺れやめまい、吐き気などを引き起こす可能性があります。
むちうちの主な症状
むちうちでは、下記のような症状が現れます。
【むちうちの主な症状 】
部位 |
症状 |
---|---|
首 |
痛み、麻痺、痺れ、凝り、思うように動かない |
頭部 |
痛み、麻痺、痺れ、凝り、思うように動かない |
耳 |
耳鳴り |
目 |
めまい、かすむ、眼精疲労 |
その他 |
疲労感、倦怠感、吐き気、違和感 |
首や頭部、背中の痛みや動かしづらさなどわかりやすい症状もありますが、頭痛や吐き気、耳鳴り、めまいといった神経症状もむちうちの症状に含まれます。また、腕や手が痺れる神経根症が出る可能性もあります。一言でむちうちと言っても、さまざまな症状があることを覚えておきましょう。
むちうちの症状が出るまでの期間
むちうちは、負傷した当日から翌日にかけてもっとも多く症状が出ます。どんなに遅くても、72時間 以内には症状が出ると考えておきましょう。72時間以降に現れた症状については、交通事故との因果関係があるとは考えにくいと言えます。
実際に、むちうちの経験がある方のなかには「3日以降に症状が出たことがある」という方もいるかもしれません。そのケースで多いのは「本当は翌日から違和感があったけれど、痛みが強くなったのが3日以降だった」というパターンです。
症状が強く出るのは翌日以降が多いので、はじめは違和感程度でも、翌朝に起きたら急に首が動かないこともあり得ます。交通事故後に首などの少しでも違和感があれば、整形外科の受診がおすすめです。
むちうちの症状がすぐに出ない理由
むちうちは、なぜ負傷した当日ではなく、翌日以降に症状が出る可能性が高いのでしょう。その理由として、次の3点が挙げられます。
<むちうちの症状がすぐに出ない理由>
- 事故直後は興奮状態にあるから
- 無意識に楽な姿勢をとろうとするから
- 脳内出血を起こしているから
それぞれの理由について、詳しく解説していきます。
事故直後は興奮状態にあるから
交通事故はほとんどの人にとって、人生のなかで頻繁に起こるものではありません。いざ自分の身に交通事故が起こった場合、ケガなどの身体的負傷に加えて、精神的なショックを受けていることでしょう。
人は興奮状態になるとアドレナリンが分泌されるため、通常時よりも痛みを感じにくくなります。極度の不安状態にある交通事故直後はアドレナリンが働き、痛みや疲れなどの感覚を麻痺させるのです。また、事故を起こしたショックから「受け入れたくない」という気持ちが生まれ、大きな痛みはないと思い込もうとする、防衛反応が働く可能性があります。
そして翌日以降、精神的に落ち着いた状況になると興奮状態が収まっているため、本来の痛みを感じはじめます。
無意識に楽な姿勢をとろうとするから
首などに違和感があったり、痛みを感じたりした場合、人は無意識に痛みを避けるために楽な姿勢をとろうとします。その場では首の痛みを感じずに済みますが、肩や背中に負担がかかってしまい、肩甲骨周りに痛みが生じてしまう可能性があるのです。
一部分をかばう体勢は他の部分に負担をかけてしまい、結果として遅かれ早かれ症状を実感することにつながります。少しでも痛みや違和感があれば、目を背けずに早めに整形外科を受診するのがおすすめです。
脳内出血を起こしているから
交通事故によって頭部を損傷して脳内出血を起こしている場合は、症状を自覚するまでに時間がかかる可能性があります。脳内で出血した血液によって圧迫が起こり、痛みを感じにくくなるからです。
脳内出血の場合、脳自体に痛みを感じることはなく、軽い痺れなどを感じるケースが多いです。少しでもおかしいなと感じたら、早めに医師の診察を受けましょう。
むちうちの治療法
むちうちの症状がある場合、まずは整形外科を受診します。そのあと、症状や必要に応じて整形外科と併用する形で、整骨院での治療も可能です。
このとき、整形外科を受診せずに、いきなり整骨院に通院するのはおすすめできません。整形外科の医師の診断と許可を得なければ、整骨院での治療費が保険で支払われない可能性が高いからです。同じ理由で、整形外科への受診は1ヶ月に1度~2度の頻度で定期的に行い、自分の体の回復状況を把握しながら、整骨院へ通院することをおすすめします。
整形外科での治療
まずはレントゲンやMRIなどの画像検査を行い、骨や軟骨組織に損傷がないかを確認します。損傷がある場合は、首を固定するために頸椎カラーを装着することが多いです。ただし、症状によっては頸椎カラーを使用することで悪化する可能性もあるので、頸椎カラーは必ず医師の指示に従って装着しましょう。
また、消炎鎮痛剤を処方してもらい、服用することで炎症を抑えます。内服薬だけでは効果が得られない場合は、神経ブロック注射 を使用する可能性もあります。
炎症が収まったら、牽引 、温熱療法、マッサージ、筋力トレーニング、機能トレーニングなどの理学療法やリハビリを行い、回復を目指しましょう。
整骨院での治療
整骨院では医療行為ができないため、ストレッチやマッサージなどの徒手療法で関節の可動域を向上させていきます。また、電気療法や鍼灸治療などを行い、むちうちの症状を緩和させるところもあります。
ただし、整骨院での治療は、整形外科医の許可を得てから行うことが大前提です。また、事故直後の炎症が激しい時期は、安静にしておくことが求められます。整骨院での治療は、痛みが落ち着いた段階で開始しましょう。
交通事故後は自覚症状がなくても病院を受診しよう
むちうちは、交通事故直後に症状を感じにくいことが特徴です。症状を感じないからと言って放置していると、数日後に痛みが現れる可能性があります。痛みが現れた時点で病院を受診しても、交通事故との因果関係が認められず、保険会社に治療費を請求できない可能性があります。
最初は軽い痛みだけでも、翌日起きたら首が動かないというケースも多いです。「このくらいの軽い痛みなら大丈夫」と思わず、整形外科を受診することをおすすめします。自分の体のことはもちろん、保険のことを考えるのであれば、交通事故を起こしたら自覚症状がなくても病院を受診しましょう。首などに損傷がないかを検査してもらう必要があります。
浜松でむちうちの治療をするなら【みのり整骨院】へ
むちうちは、交通事故やスポーツなどで起こる首の損傷です。とくに交通事故の場合は、症状が出るまでに時間がかかる傾向にあるため、事故後数日経ってから痛みが増した方が多いという特徴があります。
首や背中に痛みを感じたり、動かしにくいと感じたりしたら、まずは整形外科を受診しましょう。炎症が収まれば、整骨院での治療も可能です。静岡県浜松市にある「みのり整骨院」では、むちうちの症状が改善するよう、個々の患者様に合わせた施術を行っています。20年以上の経験と実績をもつ柔道整復師が、その方の状態に合わせて手技治療を行います。むちうちの症状にお悩みの方は、ぜひ一度当院へご相談ください。